前回の続きになります。
さて新会計基準の原則が適用になる場合ですが、リース会計を適用する初年度に、それ以前のリース契約についても遡ってリース資産を計上しなければいけないそうです。
具体的には、リース資産の取得価額相当額と減価償却相当額を算定して期末残高相当額を計算します。
次にリース料総額を元本と利息に区分して返済スケジュールを作成の上、期末リース債務を計算します。(これ相当にやっかいですね。)この手続きを経て修正仕訳を起こします。差額は特別損益だそうです。
修正仕訳は以下のようになります。(数字は例)
リース資産9600 リース債務10000
特別損失 400
さて税務は、あくまで平成20年4月1日以後締結したリース契約からの適用ですので、このままでは会計と税務は随分と乖離してしまうことになりそうです。
少し考えただけでも、以下のような疑問点が出てきます。
・適用初年度の特別損益は税務上認められるのか
・会計基準適用初年度開始前リース資産は税務上は賃借取引なので、適用以降は税務と会計で別々に管理しないと申告できなくなってしまうのではないか
・利息部分の消費税の取扱はどうすればよいのか
具体的なことは、今後の税法や通達を待たないと分かりませんが、いずれにしても会社経理が複雑になることは避けられないようです。
【今回の推薦本】
畠山武著「昭和史の怪物たち」
敗戦までの昭和前期二十年間は破滅へ向かった激動の時代でした。著者はこの時代に重要な役割を演じた三人(森恪、久原房之助、宇垣一成)の政治家をとりあげています。
森恪は歴史書には、あまり詳しく出てこないように思いますが、張作霖爆殺事件、満州事変の首謀者である河本大作、板垣征四郎、石原完爾と近く大きな役割を担っていたようです。著者は「日本の運命を狂わせたものとして強い批判は免れない」と結びます。
大宅壮一は「昭和怪物伝」の筆頭に久原をとりあげ、「超怪物」と形容しているそうですが、現代ではあまり知られていない人物のような気がします。
歴史書でも二二六事件で皇統派に資金援助した黒幕としての印象です。壮大なスケールの器を持ちながら異端者として終戦を向かえた彼を筆者は「糸のない凧」と形容します。
清浦内閣、第一次、第二次加藤高明内閣、若槻内閣、浜口内閣と五代の内閣で陸相として、絶大な権力を振い、陸軍大将であった宇垣の組閣を阻んだものは、出身母体の陸軍だったそうです。
その背景にあったのは板垣征四郎、石原完爾が起こした「下克上」だそうです。歴史の因果関係は糾える縄のごとしです。
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)