(先週から続く)
弐 所得を減らす
1.給与所得を減らす
給与所得を減らすことは可能でしょうか。
給与を下げると給与所得は減りますが、それでは意味がありません。
給与は「給与所得控除」という制度で「収入で自動的に所得が決まる」ため現実的には不可能です。
2.損益通算を利用する
所得税は所得を10に区分して税金を計算しますが不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得は損益を通算(損失を他の所得)できることになっており、昔から節税対策に利用されてきました。
ところが現在では、節税封じの税制改正により、色々な制限がありますので慎重な検討が必要です。
山林所得は特殊ですので、それ以外の損益通算について解説します。
a不動産所得と損益を通算する
賃貸用不動産に投資して初期の不動産所得の損失と他の所得を通算するものです。
不動産所得の赤字で節税して、不動産の含み益を狙うという手法です。
税制改正で土地部分の利息については損益通算ができなくなりました。
また不動産が値下がりすると損失になってしまいます。
結局、賃貸経営は節税目的ではなく資産運用として考えるのが正当です。
b事業所得と損益を通算する
これは赤字の事業を営むことが条件ですので、極めて限られた節税策です。
よく行われているのは農業所得の赤字を他の所得と通算する方法ですが、家庭菜園ていどの農業では認められません。
c譲渡所得と損益を通算する
詳しい説明は省略しますが、以前は不動産に含み損がある場合は、譲渡損を通算できたのでこの規定がよく利用されていました。
しかし税制改正により、この規定が利用できるのは事実上はゴルフ会員権に限定されてしまいました。したがってゴルフ会員権を譲渡して損失が出る場合は、その損失を他の所得と損益通算して節税することができます。
(次週に続く)
【今回の推薦本】
別冊宝島「日本経済 ヤバい!教科書」
今回は、おなじみの宝島社のムック本。
前回の『日本経済タブーの教科書』がかなり面白かったので購入したのですが、これも面白いです。
このシリーズのいいところはズバッと本音で解説してくれるところ。
ただ、あまり影響されすぎるとペシミスティックになってしまう気がします。
なんにでも表と裏があるのは自然の摂理なので、社会経済を多面的に理解するための方便として読みましょう。
でも日本が向かえている鬱屈した社会、経済状況は確かに単に「世界経済不況」だけの原因じゃないようです。
冒頭では渡辺善美 元金融・行革担当大臣が「官僚が政財界をコントロールする1940年体制が復古している」と警鐘を鳴らしています。
別冊宝島1607 日本経済ヤバい! 教科書│宝島社の公式WEBサイト 宝島チャンネル
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)