落合博実さんの「徴税権力 国税庁の研究」を読んでいて思い出したのですが、ずいぶん前に「サラリーマン自由自在」という本がありました。
軽いノリで「新入社員の心構え」を説いた本で、おちゃらけた感じが好きで読んでました。たしかホィチョイプロ(まだ活動してるのかな?)が編集してた気がします。
記憶は定かではないのですが、次のような内容が印象的でした。
・社長は菩薩様であり役員は観音様だと思いましょう。エレベーターで一緒になったりしても、間違っても声をかけてはいけません。拝むだけにしましょう。
・①上司は絶対に正しい。②上司のいうことには絶対に服従する。③上司のいっていることが間違っていると思うこともある。④上司が間違っていることもある。⑤①に戻る。
・サラリーマンには収入がふたつある。1つは「給与」であり、ふたつめは「経費精算」である。
この最後のところ、昔はよく分からず笑って読んでいたのですが、今は職業上の理由もあって笑って読めません。
飲食店で「領収書をください」というと、きまって「日付はいれますか?」と聞かれたり、黙って「白紙の領収書」をくれたりします。このことが経費精算で、いかに不正が多いかを物語っています。
「徴税権力 国税庁の研究」には、国税局のサンプル調査で朝日新聞の取材費の不正が次々に見つかったことと具体的な数例が挙げられています。
「神楽坂の料亭 カードの支払明細と領収書で5万9千円を二重に請求」
「銀座の小料理屋 白紙の領収書で1万4千円を架空請求」
「銀座のおでん屋 実際に使った金額は1万8千円だったが、1を4に書き換え4万8千円に数字を改ざん」
「サラリーマン自由自在」の記述は、冗談ではなく、本音だったのでしょうか。サラリーマンの「ふたつめの収入」は立派な(?)横領罪ですが、「不正はいたるところにある」のも現実です。
【今回の推薦本】
橘玲著「臆病者のための株入門」。また橘さんの本です。経済本や投資指南の本は、能力不足を棚にあげて、無理に難解に書いている本が多いような気がします。でも実際は「美人投票」に似て、ファンダメンダルよりも話題をさらった株が急騰します。
橘さんは、このあたりを客観的に、さらっと書いてくれます。最後のくだりが、また私好みです。
「最後にお断りしておくと、私自身はここで述べたような『合理的な投資法』を実践しているわけではない。ひとには、正しくないことをする自由もあるからだ。」
うん、その通り。「えっ?私の場合は、単に見る目がなくて『理不尽な投資法』になっているだけ? ・・・」
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)