相続税はどこへいく

アカエリヒレアシシギ撮影YT氏

 ご存知の通り、昨年末から大騒ぎになっていた相続税の控除縮小等の見直しは先送りになりました。
 今年の4月以降にお亡くなりになった方の相続人の方は、一安心かも知れません。
 でも「先送り」であって「白紙撤回」ではありません。平成24年度でまた同じ改正案が出てきそうです。
 でも僕は税の実務を担う専門家として、「先送り」になった改正案に「ささやかな懸念」を感じています。それは相続税が申告納税といって相続人の方が自ら申告する税金ですが「財産が基礎控除額以下の場合は申告不要」だからです。
 前回の税制改正案では基礎控除額は「3千万円に6百万円に相続人の数をかけた額」です。例えば「亡くなったお父さんの相続人が息子さんひとり」だった場合は、わずか3千6百万円になります。いまは6千万円です。
 ここで問題なのは「相続財産がいくらになるかは評価してみないとわからない」ということです。実は、正確な相続財産は税務署にも分かりません。
実は相続財産の評価はそれだけ難しいのです。
 賢明なみなさまのことですから、もうお分かりですね。
そうなんです僕の懸念は相続財産が基礎控除をわずかに上回る方は「正直者が馬鹿を見る」とか「知らぬが仏」ということになってしまうのではないか・・ということです。
 これまでは相続税は一部の富裕層が納める税金だったので税務署もきちっと管理することができました。高齢者の方が増えると、お亡くなりになる方も増えます。
さらに相続税基礎控除額が縮小になると、相続税の申告が必要な相続人の方は飛躍的に増えることになります。
 ちゃあんと課税の公平を確保できるんでしょうか・・。
【今回の推薦本】
橘玲著「大震災の後で 人生について 語るということ」
 あらためて考えてみると・・・
国が僕たちを救ってくれるわけじゃない。
永久就職できるはずの会社はなくなってしまった。
不動産を持っていれば安心という時代じゃない。
未来は不確実で、残酷かもしれない。
それでも僕たちは未来に希望をみつけなければいけない。
そう自分のために。
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