経理で大変なのが決算です。決算時期になると、経理の現場はにわかに慌ただしくなります。決算でとくにやっかいなのが決算調整という作業です。決算調整とは過去に使った費用を当期に計上したり、まだ支払い義務が生じてない費用を計上する手続きです。
前者は減価償却という手続きで、固定資産の購入代金など既に支払った支出を毎年少しずつ費用に計上する処理です。もう支払い済みなのですから、費用として認めてくれてもよさそうなものですが、国税庁が認めてくれません。
後者の費用で代表的なのが、引当金や法人税等未払金です。支払いが生じていないのですから、計上額は合理的に計算しなければなりません。引当金とは、支払いは先の話なのですが、支払い理由が当期に生じている費用です。
例えば従業員に対する退職給与は、何年も勤めてくれたから支払うものですので、退職した時に多額の退職金を一時に費用計上するのは不合理です。将来払うことになる退職金のうち、当期の働きに対応する部分の金額を見積もって退職給付引当金という勘定科目で負債に計上します。賞与引当金や貸倒引当金も同じような理由で見積もり計上します。
ここで難しいのは、見積もり計上なので、実際にいくら払うことになるか確定していないということです。決算作業が大変なのは、こうした複雑な見積もり作業が増えるためです。
同じような手続きに時価評価があります。値下がりしてしまった商品や有価証券について評価益や評価損を計上するのがの時価評価です。昔は取得原価主義といって、購入した価格さえ分かっていればよかったのですが、最近は時価会計といって、時価を重視した会計処理に変わってきています。でも時価というのは把握が困難で大変です。
決算作業は毎年、毎年複雑になっているのが実情です。一方、タイムリーディスクロージャーとかいって決算スケジュールは短くなる一方です。ほんと大変。
【今回の推薦本】
読売新聞戦争責任検証委員会著「検証 戦争責任Ⅱ」。先週の続編です。この本の主題は「昭和戦争の責任を総括する」ですが、やはりこれはかなり思いテーマで、かつ新聞社としての制約もある中で苦労して執筆しているのが感じられます。
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)