八木重吉 詩集より

「くちばしの黄な黒い鳥」

くちばしの 黄いろい
まつ黒い  鳥であつたつけ
ねちねち うすら白い どぶのうへに
籠のなかで ぎやうつ! とないてゐたつけ

なにかしら ほそいほそいものが
ピンと すすり哭いてゐるやうな
そんな 真昼で あつたつけ

「ひとつの ながれ」

ひとつの
ながれ
あるごとし、
いづくにか 空にかかりてか
る、る、と
ながるらしき