前回の続きです。
さすがに請負契約書の印紙税については猛烈に調べました。
でも、調査官からは、さっぱり連絡がありません。
1月もたって、やっと電話連絡がありました。
調査官「先日の調査の件ですが法人税は特に問題はありませんでした。印紙税の件ですが、担当者とも相談したのですが、あの契約書は2号該当の請負契約書に該当しますので追加の納付をお願いしたいと思います。」
私「えっ〜。ああいう微妙な契約書で3倍もの過怠税ですか?」
調査官「いえ、そういうわけではありません。今回は会社の事情もよくわかりますので自主納付ということで結構です」
自主納付とは税務署の調査によって過怠税を納めるのではなく、自分で気がついて自主的に追加の税額を支払う手続きです。
この場合は3倍ではなく1.1倍の過怠税です。
過怠税は360万円ではなくて132万円、最悪の事態は避けることができたようです。
私「ところで『あらたな2号文書に該当する』というのは、印紙税の担当者とも相談された最終のご判断ですか?」
調査官「もちろん印紙税担当にも問い合わせた上での結論ですが、何か別の根拠があるのでしたら再度検討させていただきますが・・・」
どうも、いまひとつ曖昧な回答です。税務署でも確信がもてていないようです。
私「『印紙税なんとか問答集』という本はそちらにありますか?」
調査官「ええっと・・・ああ、ありましたが・・?」
私「その263ページなのですが・・」
調査官「ちょっと待ってください。ああこの参考文書が載ってるページですね。」
私「その文書ですが、今回の契約書に似てませんか?」
調査官「そういえば、似てますかね・・。」
私「その解説文なのですが『この文書は通則3の解釈により7号文書に該当する』と記載されていますよね。今回の契約書も7号文書に該当する、というのが私の判断なのですが・・・」
7号文書というのは「継続的取引の契約書」というもので税額は4千円です。今回のケースでは2万4千円で済んでしまいます。
それにしても税額がえらく違います。税務署の言う通り納税したら大変です。
調査官「そうですね。う〜ん。先生が仰っていたのは、このことなんですか・・・。この解説書をじっくり読んで、もう一度、印紙税担当とも相談してみます。また改めて連絡させてください」
さて、またもや、待てど暮らせど電話連絡がありません。
そう、ことほど左様に税務の現場は複雑なんです。
この話はこれでお終い・・。ちゃんちゃん。
【今回の推薦本】
三宅伸吾著「市場と法−いま何が起きているのか」
村上ファンドの事件で東京地方裁判官は「被告人は『ファンドなのだから、安ければ買うし、高ければ売るのは当たり前』と言うが、このような徹底した利益至上主義には慄然とせざるを得ない」とまでいいきって、村上被告に実刑判決を言い渡しました。
村上ファンド事件、ライブドア事件に限らず談合をめぐる独禁法違反、伊藤ハムの関税法違反から三菱自動車の欠陥車事件、はてまた酒気帯びなどの交通違反まで、厳罰化の時代になっています。
その背景には市場の変化があるようです。
法律は変わらなくても運用が変わる。
昨日は無罪でも、明日は有罪になるかもしれない。
他の人は摘発されないのに、国策のために実刑判決になる。
厳しい時代です。
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)