「税法は一読して難解、二読して誤解、三読して遂に解釈不能」というそうな。
その分、条文が読めるようになると、「歪な楽しみ」にもなったりします。
私は、もう20年も税理士をしていますが、未だに条文が好きになれません。
例えば法人税法施行令第4条の2項の二に次のような文章があります。
「当該他方の法人の株主等である法人と当該一方の法人との間にこれらの者と発行済株式等の所有を通じて連鎖関係にある一又は二以上の法人が介在している場合 当該株主等である法人の有する当該他方の法人の株式の数が当該他方の法人の発行済株式等の総数のうちに占める割合」
括弧書きを削ってもこの読みにくさ。まだ仏教の「般若心経」の方が好きです。(でも、まあ専門家なんだから読まなきゃいけない)
さらに、ややこしいのが「租税特別措置法」という法律です。「特別」というくらいだから、「本法(税法)に定めがあっても特別に扱うよ」という法律です。
じゃあ例外的な法律だと思ったら大間違い、時限立法の筈なのに毎年、増える一方です。
同法は昔「収賄法」といわれていたことがあるそうです。条文の内容が特定の業界に減税を施す内容が多いため、国会議員から特定業界への賄賂だと揶揄されたためです。
条文の構成がやたらと複雑なのは、そのためかも知れません。
民主党がいうように「原則廃止」ということで見直せば「宝の山」なんじゃないでしょうか。
消費税の増税よりは、よっぽどいいですね。
締めに一句。
見渡せば花ももみじもなかりけり 裏の苫屋の秋の夕暮れ(藤原定家の歌)
【今回の推薦本】
松岡正剛著「誰も知らない世界と日本の間違い」
先週に引き続いて「セイゴオ先生の本」です。先週推薦の「17歳のための 世界と日本の見方」は世界宗教の発生からバロック時代まででしたが、この本は、その続編で近代や現代がテーマです。
こんどの腰巻(?)は「大人は読まなきゃいけません」なので、ちと安心しました(なんと気の小さい大人なんだ!)
この本は、世界史の講義を通じて「日本はどうあるべきか」をテーマにしています。最後の結びがいいです
「五月雨や大河の前に家二軒」。
「只の非凡」じゃなきゃいけない、そのままであることを非凡にするべきだ。
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)