M&Aの費用

コミミズク撮影YT氏

 ときどきM&Aの税務について相談を受けることがあります。
M&Aに限らず税務について回るのが「事実認定」という問題です。
例えば次のような質問を受けたとします。
「Q当社は海外の会社を買収するために株式を購入することにしました。
コンサルタントに株式の評価やアドバイス料を支払っていますが、これらの費用は株式の取得費用になるのでしょうか?」
 この問いに対して異なる参考文献をふたつ抜粋してみます。
「A1(ある著名な税理士法人
 株式購入のために要した費用は、取得した株式の取得価額に含めることとされています。ご質問にある費用は取得価額に含めるべき費用と考えられます」
「A2(ある権威ある書)
 株式の算定料は、その株式を取得するか否かの決定に資するためということも含めて行うときは取得に要した費用とはいえない面があります。
株式を購入するためのコンサルティング費用も同様です。
 したがって株式の取得価額に含める必要はないものと思われます」
 税の専門家でない方は「じゃあいったいどっちにすればいいのよ?」
といいたくなりますよね。
 受験問題のように○×をすぐには答えられないのが税務の世界です。
【今回の推薦本】
チームFACTA「オリンパス症候群」
オリンパス事件は日本経済の不振を象徴する事件で、その結末もなんとも日本的なものでした。会社は、隠しようがなくなる事態になるまでひたすら隠蔽。
 大手マスコミも知っていながら記事にしない。調査もしない。
何とも原子力発電と似た構造です。怖いものを直視したくない・・・という感情は日本人に共通するようです。
 本書を読むと、オリンパス事件は特異な事件ではなく、氷山の一角にすぎず、背景には1980年代から問題を先送りしてきた日本経済が根底に抱える問題があるようです。
「ロスト・ディケイド」は第三のステージを迎えようとしています。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%B9%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4-%E8%87%AA%E5%A3%8A%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9E%8B%E3%80%8D%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BE-%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0FACTA/dp/4582824609
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)