条文で理解する清算所得

オシドリ撮影YT氏

 いま浅田次郎を読んでます。
小説を読むのは久々です。
でだしはこんな感じです。
「油蝉の声が絶えたと思う間に時雨がやってきて
暑気をころあいに鎮め
かわりに蜩(ひぐらし)の鳴き始めた
晩夏のたそがれどきであったと思う」
 おおお、懐かしい。
そうでした。昔はこんな文章ばかり読んでました。
税法の条文とはえらい違いです(あたりまえだろ)
 先週のブログは「なんのことやらわからん」と思った方も多いと思います。
それで今回はなくなってしまう「清算所得課税」の解説です。
 今の清算所得課税の条文は下記のようになってます。
第九十三条 内国普通法人等の解散による清算所得の金額は、その残余財産の価額からその解散の時における資本金等の額(連結事業年度終了の日に解散した場合(次項において「連結事業年度末解散の場合」という。)には、連結個別資本金等の額)と利益積立金額等との合計額を控除した金額とする。
 う〜ん。やっぱり読みづらいですね。
 そこで(かっこ)をとってみます。
第九十三条 内国普通法人等の解散による清算所得の金額は、その残余財産の価額からその解散の時における資本金等の額と利益積立金額等との合計額を控除した金額とする。
 う〜ん、まだわかりにくいです。
次に税法独特の難しいことばを、口語に直してみます。
内国普通法人等:普通は会社のこと
清算所得の金額:税金を計算するための利益
残余財産:残ったお金
資本金等の額:通常は「会社をつくったときに払い込んだお金」
利益積立金額等:過去の儲けの(税金を払った後の)残り
さて、まとめてみましょう。
「会社を止めるときの税金を計算するための利益は以下の算式で計算します。
残ったお金−会社をつくったときに払い込んだ資本金と過去の利益や損失の合計額」
 会社を潰すくらいですから赤字の会社です。
この算式がプラスになるくらいなら解散しません。
ということで改正前は、清算所得課税を心配することはありませんでした。
この条文がなくなってしまうのが先週のブログの「清算所得課税の廃止」です。
 適用時期は「平成22年10月1日以後に解散が行われる場合」です。
【今回の推薦本】
アレックス・アベラ著「ランド 世界を支配した研究所」
RANDとは「Research ANd Deveiopment」から来ているそうだ。
現代史の理論を構築してきたシンクタンク
ゼロサムゲーム、囚人のジレンマ、システム分析、終末兵器これらのすべてがランドで考案された概念だそうだ。
 登場する人物もジョン・フォン・ノイマンハーマン・カーンロバート・マクナマラヘンリー・キッシンジャードナルド・ラムズフェルドフランシス・フクヤマコンドリーザ・ライスなど数学者、経済学者技術者、政治家と多才な顔ぶれ。
 ベトナム戦争から冷戦後までの世界を理論的にリードしてきたのがランドだったわけだ。
インターネットもランドがなければ生まれてこなかったかも知れない。
より深く現代史を知りたい方には必読の書だ。
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(このブログは毎週木曜日に更新予定です)