レバレッジ

ジョウビタキ撮影YT氏

 レバレッジとは梃子のこと。
100万円の自己資金で10%の利益をあげると10万円の儲けです。
たいしたことないですね。
 これを年利5%で900万円借りて1000万円で運用すると儲けはいくらになるでしょうか。
答えは1000万円×10%−900万円×5%=55万円
 元本の運用利回りは10%から55%に膨れあがります。
これがレバレッジの効果です。
利益が出る場合は自己資金の比率が低ければ低いほど利回りは高くなります。
 この仕組みが財務管理の基本です。
調達金利を上回る利益が得られるなら、借金をしてでも徹底的に投入すれば儲かるわけです。
単に投資の話ではなく、事業も基本的にはこの理屈で動いています。
 運用利回りを他人に委ねるのが投資、短期的な利ざやを稼ぎが投機、そして自ら運用して稼ぐのが事業です。
永遠に儲かるなら「それでいいのだ」なのですが、逆鞘になるとレバレッジが効けば効くほど損失が大きくなります。
 なんで、こんなこと書いてるかというと↓の本を読んだばかりだからです(そういう落ちかよ!)
【今回の推薦本】
ローレンス・マクドナルド+パトリック・ロビンソン著「金融大狂乱 リーマン・ブラザーズはなぜ暴走したのか」
 未曾有の金融危機がなぜ起きたのか・・異常なまでに膨れあがった住宅バブルの中でレバレッジレバレッジをかけて莫大な利益を上げていくリーマン。
ファルド会長の暴走は止まらない。会社の立場に深い憂慮を示す良識派は会社を追われていく。
 金融危機が起こる前のアメリカは日本のバブルの時代に類似する点が多々あるようだが金融工学を駆使した証券に覆い隠されたため、事態はより深刻になった。なぜ、あれほど暴走してしまったのか、次の記述を読んで分かったような気がする。
「破綻間際の企業の悪徳財務担当者が、監査法人と投資家の目をあざむこうとしたように、ウォール街のエリートと顧問弁護士と銀行家は、SEC調査官の規制の目をあざむこうとしていた。
ウォール街では、数百万ドルの高給をとるMIT卒業生、もしくはハーバード卒業生によってコマンド部隊が編成され、年収12万ドルの公僕調査官との戦闘に備えた。SEC側に勝ち目があるとはとうてい思えなかった」
 複雑な仕組みの金融商品をつくるエリートたちがいて、利益至上主義のボディービルーダー的なセールスマンが住宅ローンを売りまくる。
勢いがつくと止まらない。バブルの基本的な構造はいつも同じ気がする。
 オバマ大統領が金融規制案でウォルストリートと戦っていますが、こりゃ容易じゃないですね。
http://www.amazon.co.jp/%E9%87%91%E8%9E%8D%E5%A4%A7%E7%8B%82%E4%B9%B1-%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E6%9A%B4%E8%B5%B0%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B-%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%89%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%89/dp/4198628130
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