税理士のAさんと、Aさんと幼なじみのBさんが話をしています。
Bさん「それでさ、税理士とはどんな仕事なの?」
Aさん「う〜ん。まあ簡単にいうと”知らぬが仏”という仕事だね」
Bさん「知らぬが仏?そりゃまたどうして?」
Aさん「人間、誰しも間違いはある」
Bさん「そりゃあるよね」
Aさん「例えばだ」
Bさん「うん、例えば?」
Aさん「あくまで例えばだ」
Bさん「うん、そりゃわかる。守秘義務があるから、あくまで例えばだよね」
Aさん「ある社長が亡くなって、相続税を申告したとする」
Bさん「うん、うん。したとする」
Aさん「完璧に財産を洗い出して、相続税の申告をした」
Bさん「よかったじゃないすか。儲かりまんな」
Aさん「そこで、なんで関西弁になる。それでだ、申告した翌年に亡くなった社長が経営していた会社の決算書をみる」
Bさん「ふむふむ。そりゃ決算は毎年しますからね」
Aさん「その決算内訳書を見ると亡くなった社長が会社に1億円も貸していた」
Bさん「そりゃ大変だ。つまり申告した財産に漏れがあったということですな」
Aさん「漏れがあったんじゃない、例えばの話だ」
Bさん「それで、いくら過少申告になったんですか」
Aさん「なったじゃない。あくまで仮定の話だ」
Bさん「そうでした。仮定の話でした」
Aさん「例えば、修正したら5千万も納税額が違うとする。でも、いまさらやりなおすこともできないとする」
Bさん「そりゃ。仮定の話でよかったでんな」
Aさん「突然、漫才口調になるんじゃない。どうすべきか・・。それからは夜も眠れない。税理士とは、そんなことの連続だ」
Bさん「それは心配だね。それで、どうなったの?」
Aさん「だから仮定だって!それで相続税の調査が入ったとする」
Bさん「うは〜。面白い、人の不幸は蜜の味ってね」
Aさん「なんだと!」
Bさん「Aさん、例えばの話だって!」
Aさん「そ、そうだった。それで調査があったのだが、調査官もそこまで気づかずに申告は是認(申告が認められること)されたとする」
Bさん「は〜。ほっとしまんな」
Aさん「でも気づかなきゃ何年も悩むことはなかった・・。もとい悩むことはなかったとする」
Bさん「な〜るほど。それで大変な仕事だとする、ですね!」
Aさん「そこは仮定形にしなくていいよ・・」
(注)これは、あくまで例え話です。本当はきちっと事情を説明して修正申告をします。
難しい案件の税務判断が誤ってしまったときなど、最後まできづかなければ、悩むこともなくそれで済んでしまっていることも多々あるのが現実・・。
【今回の推薦本】
最近の野口教授の著書は、どれも面白く、説得力があります。
この本では戦後の日本経済をつぶさに分析しながら、日本経済の根底には「戦時経済体制」があることを実証していきます。
考えて見ると、日本は政治、経済そしてマスコミまでも、その根底には戦時体制があり、それを支えてきたのは官僚でした。その構造は、現在でも変わりません。
例えば経済産業省は「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」というのを創りました。ベンチャー企業や既存中小企業の新分野進出を国が認定して保護するという、滑稽な法律です。
もともと国の保護がないからベンチャーです。
まさしく社会主義国家です。思えば、北一輝や岸信介に代表される戦時中の革新官僚の思想は右翼と言うより社会主義的です。現に岸信介は社会党との連立政権を思考していた時期もあるようです。
何故、官僚制度が生き長らえるか、野口さんが指摘する「官僚の3大得意芸」に秘訣がありそうです。
1.その時点の最高権力者に対する面従腹背
2.都合の悪い情報は一切出さない情報操作
3.自分たちが必要であるとの最大限のアピール
田原総一郎は「消えた年金問題は社会保険庁が仕掛けたクーデターだ」といいます。いろんな本を読んでいると、あながち嘘ではない気がします。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/tahara/070719_20th/index.html
いずれにしても、この本はお薦めです。
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)