昨年の税制改正で、とにかく厳しく改悪されたのが役員に対する給与です。私は、会社法制定のどさくさに紛れて改悪された「役員給与をあげちゃいかんよ税制」と命名してます。
本来、会社を経営するには、法的にも税務的にも自由な裁量が必要な筈です。これを「私的自治の原則」といいます。国家が経営に、あれこれと口を出すのは社会主義国家または統制経済です。
実は、会社経営に大きな影響を及ぼすのは会社法よりも税法だったりします。これを「会社法は怖くないよ原則」といいます(もちろん嘘です)。税法は企業行動を制約します。
昨年の税制改正は、経営でもっとも大切な役員の給与を「原則は損金」から「原則は損金不算入」に改正してしまいました。国が経営者に「勝手に役員給与をあげちゃいかんよ」と釘を刺したわけです。
国税庁の質疑応答事例集を読んでいると、決められた時期以外に役員給与を上げた場合は、昇給した額が損金不算入(所得税の他に法人税がかかる)だそうです。事業年度中に、2回昇給してしまうと役員給与の全額が損金不算入だそうです。
何とももの悲しくなってしまうのは私だけでしょうか。
【今回の推薦本】
保田隆明著「なぜ株式投資はもうからないのか」。昔、競馬に凝っていた時期がありました。でも、やめました。別に儲けようとは思わなかったのですが、生半可な知識では、損失が膨らむばかりだと思ったからです。
実は、株式投資についても漠然とそんな感覚を持ち続けていました。証券会社は自社の利益ばかり考えて投資案件を勧めてくるし、証券市場の仕組みが私みたいな貧乏人には不利にできているような気がしていたからです。
この本は、証券市場の仕組みを端的に、プリミティブに説明してくれます。株式も不動産も、そして保険も、投資は事前知識なしに手を出すと損をするのが常識です。「貯蓄から投資へ」という言葉に踊らされてはいけません。最後は自己責任というのが常です。
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)