真実性の原則とは

アメリカウズラシギ撮影YT氏

 経理の仕事は正確でなきゃいけません。正確な情報を収集して、その情報をもとに決算書を作成するのが経理の仕事です。経理をする上で根本となる原則に「企業会計原則」というのがあります。

企業会計原則では最初に「企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない」と定め、次に「すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない」と定めています。

 前者は「真実性の原則」といわれ、財務諸表は「嘘、偽りのない事実をもとに作成する」ということです。嘘や偽りで作成する財務諸表は「粉飾決算」です。相変わらず粉飾決算をする会社が後を絶ちません。日本を代表する上場指導をしている「なんとか証券」でさえ粉飾をして整理ポストにいってしまうのですから、嘆かわしいものです。

 後者は「正規の簿記の原則」といわれ、「記録や計算を正しく行わなければならない」ということです。ただし、定められた会計処理の方法に従って正確な計算を行うのが原則ですが、重要性の乏しいものにまで、本来の厳密な会計処理を求めるものではありません。正確な情報とは真実性を歪めない情報です。

このことは経理実務をする上で非常に大切です。あまり厳密に考えてしまうと、いつまでも決算が締まらず、必要な情報を提供できなくなってしまうからです。真実性を歪めない、ということは「経営者や投資家の判断に誤りを与えるような間違いは許されない。」ということです。

【今回の推薦本】

 有森隆+グループK著「小泉規制改革を利権にした男 宮内義彦」。この本は正月休みに読みました。推薦するのが遅れたのは、最近やたら本を読んでおり、思いつくままに書いているためです。

 有森隆さんは著書「企業舎弟ヤミの構造」で知られるように経済の闇の部分に詳しく、取材力に定評のある方のようです。オリックスの宮内さんは、以前プロ野球で「ナベツネ」さんと確執があった影響もあり、さっそうとした改革派のイメージが強かったのですが、村上ファンドとともに批判的論調が強くなっています。たしかにこの本を読むと、表とは違う別の顔も見えてきます。

 ただ個人的には「金融庁のひとり勝ち」のような昨今の風潮もどうかと思いますが・・。

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(このブログは毎週木曜日に更新予定です)