継続企業の原則と決算書

オオソリハシシギ 撮影YT氏

会計学の本を読むと会計公準として「継続企業(going concern)の原則」という言葉がでてきます。会計公準というのは会計学の前提になっている考え方です。この考え方が分からないと、会社が何故決算を行うのか理解できません。

 会社が調達する資金には、商行為の「元手」として出資者が拠出する資本(自己資本)と会社が利息を払う約束で調達する負債(他人資本)があります。出資者は、会社の「儲け」に応じて分配を受ける権利があります。

 会計(簿記)は、中世のイタリアで、その儲けを計算して出資者に分配するために生まれました。当時は、企業(会社)は短期的な存在で、その企業の精算時に「儲け」を計算すれば事足りました。
 
 その後、経済社会の発展につれて、企業の存続期間が長くなり、今日の会計は、企業は永遠に継続するものという仮定で会計基準がつくられています。これが継続企業の公準です。

 継続企業として考えると、「儲け」を計算して出資者に分配するためには、計算期間を人為的に定める必要が生じます。これが会社法法人税法で事業年度といわれる期間です。

 会社のすべての活動を、ある一定の期間に区切って、貨幣価値でひとつの形に表現するのが「決算書」です。    

【今回の推薦本】

 門倉貴史著「人にいえない仕事はなぜ儲かるのか?」。私は「さおだけや」は読んでいませんが、いわゆる入門本より、こういった本音本の方が好きです。もっとも、こういう本は税理士には書けません。何故って、脱税の現場に疎いのが優秀な(?)税理士だからです。

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