ここが変だよ税制改正大綱

オオタカ 撮影YT氏

 昨年12月15日に自民党税制改正大綱が発表されました。その中に法人税が大増税になる改正事項があります。

専門家の間では大問題になっているのですが、一般のマスコミでは殆どとりあげられていません。

改正内容が複雑で分かりにくいことと、支援団体等をもたない零細企業を対象にした改正だからだと思います。

 その内容は、現状のほとんどの同族会社(同族関係者が90%以上の株式を所有し常勤役員の半数以上が同族の場合)で、社長への役員報酬の給与所得控除相当額が損金にならなくなるという改正です。

 年収1200万円の社長なら給与所得控除額は230万円、2400万円なら290万円が法人税の損金にならなくなります。従前に比べてこの額だけ課税所得が増大することになります。

税額は年収1200万円の会社で100万円くらいでしょうか。

 会社法施行に伴い法人が設立しやすくなるための対策と考えられますが、私はこの改正は実におかしな改正だと思っています。

 新・会社法が施行されると資本金はいくらでもよくなります。1円で株式を100株発行することも可能です。その100株のうち11株を他人に所有してもらえば、100万円も節税できてしまうような法律になってしまいそうなわけです。

 自己防衛でこの対応を実行する会社が激増すると思います。税制が会社の資本構成を変えてしまうわけです。

 税制は、本来は経済に中立で、経済活動の結果について税金を徴収すべきであって、税制が経済構造を変えるのは本末転倒だと思います。

 「法人成り」によって、結果的に節税ができてしまう対策は、給与所得控除自体を見直すか、他の方法を考えるべきであって、今回のような改正はよろしくないと思います。

 税金を見て経営者の志をみない、性悪説にたった立法じゃないでしょうか?

(【今回の推薦本】はお休みです。このブログは毎週木曜日に更新予定です)