【今回の推薦本】
この本、私の正月休みの課題図書(?)だったのですが、文藝春秋に7年間に渡って掲載されていた力作だけあって、読み終わるのに2月初旬までかかってしまいました。
最近、大正時代以降の歴史に凝っています。以前は、この時代はどうも理解できなくて苦手でした。この本を読んで、いまごろ苦手だった理由が分かったような気がします。
教科書や参考書には、右翼や左翼の活動家については名前さえでてきません。でもあの時代は、想像以上に左翼的思想の影響力が強く、それを警戒する極端な右翼や国体主義者と左翼が闘争する中で作られていった時代だったので、実際のところがイメージできていなかったような気がします。
教科書や参考書には天皇機関説問題で美濃部達吉は出てきても、穂積八束や上杉真吉は出てきません。独裁政治家として東条英機は出てきても平泉澄は出てきません。
大正デモクラシーで吉野作造は出てきても、佐野学や風間丈吉はでてきません、ましてや田中清玄は出てきません。
そんな、こんなで「岸信介証言録」を読んでも、「昭和天皇独白録」を読んでも、今ひとつ実感的に理解できなかったわけです。
もっとも、これは昭和史に限らない傾向かもしれません・・。
歴史を前後のつながりを、体系的に書いてくれている作者は、実に少ない気がします。
いずれにしても、この本は立花隆さんの作品の中でもトップクラスの出来だと思います。読みこなすのは、かなり骨がおれますが・・。
今回は、推薦文だけで終わってしまいました。
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)