タックスヘイブン税制(その1)

ミユビシギ撮影YT氏

 経済の国際化はとどまることがありません。
 世界には法人税所得税がない国や税率が極端に低い国があります。
(軽課税国といいます)
そのような国にペーパー会社(実態のない会社)をつくって、日本の会社がその会社を通して事業をすると日本の税金を不当に少なくすることができます。
 たとえば100円で輸出する製品をいったん子会社に80円で売って、子会社から別の会社に輸出すると日本の儲けは20円少なくなります。
子会社が法人税所得税がない国にあると、その20円には税金がかかりません。
 そのような税金を逃れる取引(租税回避行為といいます)を防止するために「日本の会社と、軽課税国の海外の子会社の利益を合算して法人税所得税を計算」するのがタックスヘイブン税制です。
 軽課税国とは利益に対する税金の負担率(法人実行税率といいます)が20%以下の国です。シンガポールや香港、台湾などが該当します。
 でも会社の立場で考えるとシンガポールや香港に子会社をつくって、日本で課税されるのでは意味がありません。
ですから海外子会社を設立するときは、この規定の適用を受けないようにするのが一般的です。
(次回に続く) 
【今回の推薦本】
 田中周紀「国税記者 実録マルサの世界」
職業柄、定期的に読むのが脱税本。
脱税の手口は2つしかありません。
「売上を減らすか費用を増やす」です。
 でも最近はその手口も高度になってきました。
背景には金融技術の高度化や経済の国際化があります。
 例えば2006年に人材派遣会社のグッドウイル・グループが同業のクリスタルを買収したときの脱税事件などは新聞報道だけではどうにも分かりません。
 脱税の手口はどんどん進化しています。
捜査手法も進化しています。
素人は「真面目に納税」が一番です。
でも読み物として、脱税本はは実に面白いです。
最初は巧妙にやっていても、だんだんエスカレートしていって大胆になっていき、最後は冷静さを失って幼稚な手口になっていきます。
最後は行き詰まって海外に高飛び・・が結末。
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