源泉徴収という制度

ヘラシギ撮影YT氏

 源泉徴収はという制度には税金を負担する人(会社)と税金を国に納める人、税金を取る国の三者が登場します。
税法では税金を負担する人を納税者、税金を国に納める人を源泉徴収義務者といいます。考えればおかしな制度で納税者は税額を間違った場合も自分で修正することはできません。
 国も本人から不足額を徴収することはできないので源泉徴収義務者から取ります。納めすぎている場合も源泉徴収義務者に返します。常に納税者と国の間に源泉徴収義務者が入るわけです。
ですから源泉徴収義務者は支払の際に支払う額から源泉税を預かって差額を支払うことになるわけですが、ここで大きな問題があります。それは源泉徴収を預からなければいけない支払なのか、源泉不要の支払なのか判断しなければいけないということです。
 源泉徴収が必要な報酬・料金・契約金・賞金や徴収税額は所得税法に定められています。
もし源泉徴収するのを忘れたり、不足したりすると不足額の他に不納付加算税(普通は5%)や延滞税というペナルティ−(要するに罰金ですね)を払わなければいけなくなります。その後で納税者から不足税額を回収しなければいけません。どうにもやっかいなことになります。
 それでは納めすぎたときはどうなるのでしょうか?
納めすぎなのだから国から返してもらって過大額を納税者に返さなければなりません。でも一度納めた税金を返してもらうには国(税務署)にその事情を説明して、過大に納付してしまった事実を証明しなければなりません。これが「源泉所得税の誤納額還付請求」という手続です。やはり手間暇と時間をかけないと戻ってこないわけです。
 さて実務はこれで終わりません。「いまさらいわれても、もう処理は終わっているので返せません」といわれて源泉徴収の不足額を納税者に払ってもらえないことがあるからです。その場合は、払った報酬の額が変わってしまうことになります。不足額をさらに報酬として支払ったことになってしまい、源泉税額も変わってしまうことになります。
この手続をグロスアップといいます。つまり源泉税の預かり不足額は源泉徴収義務者もリスクを負ってしまうわけです。
マンマ・ミーア!
【今回の推薦本】
横田増生著「ユニクロ帝国の光と影」
ここ数年の読んだ本の中で特に印象深く面白かったのが本書です。
起業して会社を大きくしていくということがどういう事なのかは、起業家にしか分かりません。
 どんな会社も必ず衰退の時期を迎えます。それがいつなのか、誰にもわかりません。本書の評価には賛否両論あると思いますが、柳井正という経営者を正確に捉えていると思います。だからこそ、本書を読んで僕は柳井正に対して好感を抱いています。それは佐野眞一の「カリスマ」を読んだ後の、中内功に対する感情に近いのかも知れません。
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もう一冊。
柳井正著「一勝九敗」
ユニクロ帝国の光と影」に頻繁に引用されているのが本書。
この本を併読するとおもしろさが倍増です。
何事もやってみなければ分かりません。
「そのとき、そのときの判断で最善を尽くすのが経営」だと思います。
柳井正さんは、やはり最高の経営者です。
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(このブログは毎週木曜日に更新予定です)