会計基準あれこれ

コジュリン撮影YT氏

 私の事務所は西新橋にあります。
裁判所が近く弁護士会館もあるので、よく弁護士に遭遇します。
先日、あの丸山雅也弁護士とすれ違いました(それがどうした!)
 ところで今回の推薦本の話です。
会計基準は債権者の視点に変わってしまったんだ」とつくづく感じました。
会社に投資することは、金や債券や投資不動産に投資しているのと同じ感覚で論じられるようになりました。会社の財務諸表は株式の運用成績として貨幣的に表現されます。
 運用成績なのですから時価評価でないと意味がありません。でも株式と他の投資用資産は仕組みがまるで異なります。
 もともと時価とは架空の世界です。土地も有価証券も客観的な時価はありません。ましてや将来の退職債務のために今いくら必要かという退職給付引当金なども前提条件で変わっていきます。
 でも、それを貨幣価値に評価する作業が決算実務になりました。減損会計、資産除去債務、引当金の厳格計上、決算期後の損失の前倒し計上・・将来のことは誰にもわかりません。
客観的な損失の額は前提条件によって大きく変わります。
 そしてどうなったか・・。
 不確定な債務を過大に計上することが健全な経理になってしまいました。
利益を過少計上させるのが会計監査の目的になってしまっています。
会社内部の観点から財務諸表を見ることをマネージメントアプローチといいますが、今の決算書はファンドアプローチです。
 会計基準とは「ものさし」です。
あるいは「体温計」のようなものです。
銀行や証券会社などの金融機関、自動車や家電などのメーカー、スーパーやコンビニなどの小売業などすべての業種が同じ「ものさし」を使うことに限界がきてる気がします。
 でも今日のブログは少数派の意見ですね。
【今回の推薦本】
 磯山友幸著「国際会計基準戦争[完結編]」
国際会計基準がベストセラーにずらりと並ぶ昨今ですが、その中でも本書は群を抜いて売れてます。会計士も税理士も企業経理の方も経理に携わる方には是非読んで欲しい本です。
 国際会計基準の最大の特徴とも言えるのが時価会計ですが、それは時価会計が債権者にとって必須の会計基準だからだそうです。
 なるほど株式投資をしていて取得原価で資産価値を考える人はいません。会計なくして経営なし−それほど会計は企業にとって重要です。
その基準が大きく変わりつつあるわけです。
ただ理想論にすぎる・・・気もします。
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(このブログは毎週木曜日に更新予定です。来週は夏休みでお休み)