経営者は節税できるか(その4)

ミヤコドリ 撮影YT氏

 連休を利用して、メーカー時代の恩師のお宅に訪問させていただいたのですが、ひとり飲んだくれてしまったようです(反省)
 「最近のブログは、あまりよくないね〜。でてくる本が・・・」
 人って「いたいところを突かれると」冷静さを失います。
 てなわけで、今回も前回の続きで最終話。 奥の手の話です。
五 総合課税の所得を少なくして分離課税の所得を多くする
 これはズバリいうと「給与を少なくして退職金を大きくする」という手法です。
でも同族会社の経営者でなければ、こんなことはできません。
ほとんどの節税本のメインテーマはこの手法を延々と述べています。
なぜ退職金が節税になるかというと、退職金の税金は下記の計算式になっており極端に優遇されているためです。
 退職金の所得税=[(退職金の額−退職所得控除額)×1/2]×総合税率
 算式を見ると支給された退職金から退職所得控除額を控除して、さらに2分の1にしてから税率を乗じています。つまり税率は他の所得の半分です。
さらに退職所得控除額は20年までは年ごとに40万円、20円を超えると年ごとに70万円になります。
退職金を利用した節税方法は、次のふたつに分類されます。
a.役員給与を低くして、将来の退職金を多くする
 生命保険の方からよく進められる手法です。役員給与を低くすると法人税がかかってしまうので、生命保険で法人税を節税して、解約時に退職金として支給します。
b.複数の会社をから複数回、退職金を出す
 あたかも、高級官僚のあまくだりの特権を私的につくりあげるような手法です。法人税の節税にもなります。支給に経済的合理性がなければ税務的に問題が出てしまいます。
五会社を利用して会社や家族に所得を分散する
 これも同族会社の経営者しかできない節税策です。所得税は累進税率であることや給与所得控除を最大限に活用するために給与所得を分散する節税方法です。
 この方法は所得税の節税というよりは、税制の矛盾を突いた手法といえます。
 でも、まあ実際にスキームを組んでみると、節税コストの方が高いのが実情です。
 なんでって「多額な利益」を出さなきゃ節税メリットは限られているし、「多額な利益」を出して経営するには「公明正大」が一番だからです。

 ということで、このシリーズは、これでおしまい、かしまし娘(古いだろ)
【今回の推薦本】
週刊新潮」編集部編「週刊新潮が報じたスキャンダル戦後史」
 週刊誌というメディアの仕事は“自分のことは棚に上げなければ、この仕事はできない”そうだ。
スキャンダルな記事ほどニュースバリューが高いので、勢いプライバシーに問題のある記事や信憑性の薄い情報も多いので、悪くいう人も多い。
 それは、ある種「流行歌」が一部の方から蔑まられるのに似ている。
でも流行歌が、その時代の鏡のようなもので、日本の歴史を知る上で欠かせないように雑誌メディアが元気な時代の方が健全な社会だと思う。
 世の中きれい事ばかりじゃない「人は所詮、金と色と権力欲」という煩悩にまみれた存在なのも真実だからだ。
「現実を無視した理想論ばかりがはびこる世の中の方がおかしい」と思うのは私だけではないだろう。
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(このブログは毎週木曜日に更新予定です)