平成20年10月1日以後に開始する事業年度から「地方法人特別税」という制度が適用になる。
地方の税収格差が激しくなって、税収が東京にばかり集中するので、法人事業税の税率を引き下げる代わりに「地方法人特別税」という国税を創設して徴収し、税収の少ない道府県に国が配分するという制度だ。
国税といっても、いったん都道府県が事業税と一緒に徴収して、国に払い込むことにされている。
どこかで、聞いたような制度だと思ったら消費税の制度と逆の構造だそうだ。消費税では国が「消費税」と「地方消費税」を併せて徴収して、地方消費税を都道府県に配分している。
最新の「税務通信」を読むと、「なお、このしくみは国が消費税を併せて賦課徴収し、都道府県に配分している地方消費税を参考にしたものです」と記載されていた。
でも考えてみると「やっかいな手続」を増やしている気もする。地方分権とスローガンを掲げながら、さっぱり実態がついていかない現在の日本を象徴するような税金だ。
【今回の推薦本】
竹森俊平著「資本主義は嫌いですか それでもマネーは世界を動かす」
本書によると資本主義にというよりも「貨幣経済」にバブルはつきものだそうだ。
魔法の働きをする「ただの紙切れ」である「紙幣」を信仰するのが貨幣経済だ。
「紙幣」それ自体には、まったく何の価値もない。
購買力が発生するのは、ひとえに「バブル」のなせる業だそうだ。
そういえば、岩井克人は、「貨幣の発行者が貨幣の発行によって手に入れる利益のことを「シニョレッジ(seignioraji)」という。それは、貨幣が貨幣であるかぎり、その発行に必然的にともなう利益である」と記していた。
そう考えると、今回の経済危機は「財政」と「貿易収支」のふたつの赤字で、刷りに刷りまくった「ドルのバブル」が弾けた現象という見方もできるのかも知れない。
日本の金融危機と次元を異にするのは、弾けたのが世界経済の基軸通貨(key currency)だったことのようだ。
税務会計の専門家として危惧するのは会計手法としての「時価主義」が金融の実態に大きな影響を与えてしまう、ということだ。
真実の財政状態を報告するための「時価」そのものが、実はバブルそのものだったというところにアイロニーを感じる。
それでもマネーは世界を動かす。
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