昔は単体で企業を評価したのでわかりやすかった。
「あの会社は何の会社でどのくらい利益が出ているのか」が四季報を見ると分かった。
私のこどもの頃(何十年前だよ!)は分かりやすい会社ほど株価も高かった。
例えば、超優良株だったのが“カルピス”。
この会社なんか、文字通り“カルピス”しか造っていなかった。
カルピスに特化すれば、特化するほど生産効率も経費効率も高く、カルピスの普及率に比例して株価も上がっていった。
味の素も、大正製薬のリポビタンDも、あるいは王子製紙の紙、新日鐵の鉄、麻生セメントのセメントもそうだった。
あるいは商船三井などの海運業や金融業の銀行などサービス業も分かりやすかった。
誰にでも、どんな経営をしているか想像できた。
最近の上場会社は、なんだかホールディングカンパニーばかりになってきた。ホールディングカンパニーを日本語にすると「持株会社」
上場している会社自体は「株」しかもっていないのだから、経営実態が理解しにくいのは当然だ。
はじめはわかりやすい事業構造でも、ホールディングカンパニーにどんどん事業会社がぶら下がっていく。
むかしアメリカで「コングロマリット」というのが栄えたことがあった。
ひとつの資本グループにあらゆる業種をぶらさげて、とにかく多角化と規模拡大を図った統治形式だったけれど、企業理念なき連結経営はうまくいかなかった。
ホールディングカンパニーはコングロマリットは違って、連結グループの事業を再構築するための手法として利用されている。
ただセブンアイやバンダイナムコやみずほファイナンシャルなどの大会社は別だが、マザーズなどの新興企業で、まだ収益力も高くない会社がM&Aで理念なく事業会社をぶらさげて「連結経営」とかいってたりする。
あんなのは「枯れ木も枝の賑わい」というやつだ。
まずは、収益力の高い核となる事業を育てるべきなんだろうと思う。新興企業の「連結経営」は、冷静に分析してみると、構造が極めてシンプルだったりする。
【今回の推薦本】
ロバート・B・ライシュ著「暴走する資本主義」
投下資本が超過利潤を求めてグローバルに暴走している、それを著者は「超資本主義」と名付ける。
「超資本主義が民主主義を侵略してしまっている」という主張はかなり刺激的だが、説得力がある。
少数の勝ち組だけにどれだけ富が偏在したか、何故そうなったのか、著者は超資本主義の構造を冷静に分析する。
「企業は人ではない」という結論に処方箋が隠されている。少しでも多くの人に読んで欲しい本だ。
著者はクリントン政権時代の労働長官だった。ステグリッツ教授といい、ルービンといいクリントン政権には優秀なブレインが多かった気がする。
http://www.amazon.co.jp/dp/4492443517/?tag=yahhyd-22&hvadid=12443656541&ref=pd_sl_14g5ers6bf_b
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)
ところで銀座に「閑古鳥」が鳴いてるそうです(私はサラリーマンの新橋専門)。全世界的に低成長で憂鬱な時代が続きそうです。
バブルが起こって、はじけるのは貨幣経済の宿命だそうです。
新橋には「昔懐かしフォーク喫茶」があります。
先日、はじめて入ってみました。
こういうご時世には、レトロな感覚に癒されるのもいいかも・・。