消費税免除益

ヤマシギ撮影YT氏

 日経新聞で、ある上場会社の決算予想を読んで「な、なんと」とひとりで突っ込んでしまった。
 こどもなら「まじっすか」というだろうが、流行語は嫌いだ(そんなこと聞いてないって!)

 なんでも「消費税免除益」とかいうので6億数千万も利益がでたという話。

 だいたい「消費税免除益」などという科目が存在することじたい、おかしな話、普通なら雑収入だ。この利益の根拠条文は消費税法9条になる。この条文のタイトルは「小規模事業者に係る納税義務の免除」で条文は下記の通り。

第九条 事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務を免除する。

 小規模事業者に対する特例措置が6億円を超えるというのは、ある意味ブラックユーモアだ。

 大手の人材派遣業者がこの規定を悪用して、のきなみ査察(悪質な脱税の調査)がはいって告発されている。

 推測だけど、告発理由は「制度を悪用して、形式を装い免税措置を受けた」ということだろう。

 悪意だったのか、結果として利益が出てしまったのかは形式は同じ。心の問題で脱税になってしまうってことは、はっきりいって消費税が欠陥税制ということを証明してる。

 消費税の問題はふたつ。免税や簡易課税などの益税を認めていること。インボイス方式ではないので、控除できる税額が曖昧なこと。

 税の専門家としては、つらいところだ「法形式の形成可能性の乱用を戒めよ」ということばが、あらためて身に染みる。

 ところで初対面の方に「ブログ読んでます!」といわれると、かなり動揺してしまいますね。悪戯がばれてしまった子供のような気分になります。読んでくださっていたのは「あっちゃん」という方でした。
 そういえば「あっちゃん」からもらった人参は美味かった。(小学生の日記かよ!)

【今回の推薦本】

 高坂正堯著「世界史の中から考える」

 歴史学者の高坂さんは、この本で知りました。平成8年に亡くなっており、最後のエッセイ。

 「歴史は繰り返す」とはよくいわれるけれど、現代人が悩むように先代たちも悩んで苦悩して歴史を織りなしてきたわけで、答えを模索するときに歴史は貴重な教訓をもたらしてくれます。

 本書で特に興味深く読んだのは「バブルで亡んだ国はない」とうテーマ。

 オランダのチューリップ投機からビスマルクの失敗まで過去のバブルの様相をあぶりだしてくれます。
 あのニュートンでさえ投機で大損をして「自分は天体の運動を測定することはできるが、人間の心理の愚かな動きは測定できない」といったそうですから、バブルで痛い思いをするのは人類の宿命なのでしょうか。

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