平成20年度 自由民主党の税制改正大綱には大幅な改正案はないと思っていたのですが、そんなことはないようです。
問題なのは「事業承継税制」です。
事業承継税制自体は「中小企業の事業承継対策のために相続された中小企業の株価を80%評価減する納税猶予制度を創設する」というものですが、この制度には大変なお土産が(?)付いてくるかも知れません。
大綱を抜粋して要約すると以下のようになります。
「中小企業の事業承継は,極めて重要であり,総合的な支援策が必要である。
ただし,現行の法定相続分課税方式には問題がある。
総合的に勘案し,中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)を制定して,相続税の納税猶予制度を創設する。
この新しい事業承継税制の制度化にあわせて,相続税の課税方式をいわゆる遺産取得課税方式に改めることを検討する。」
この後半が大問題です。
相続税には「遺産課税方式」と「遺産取得課税方式」があります。
「亡くなった方の財産総額から税額を算出するのが遺産課税方式」で「相続した方の相続財産総額から税額を算出するのが遺産課税方式」です。
現在の制度は「遺産課税方式」を採用しており、相続財産に対して多額の基礎控除(5千万円+1千万円×法定相続人の数)が認められています。
この制度が根本的に見直される可能性があるということになります。
その狙いは「課税最低限の見直し」です。中小企業対策で減税する変わりに、一般の相続人に広く課税するということです。
「中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律」とやらは平成20年10月1日施行予定だそうです。
今年の10月以降は相続税がガラリと変わるかも知れません。
【今回の推薦本】
大塚将司著「新聞の時代錯誤 朽ちる第四権力」
巷では「大手新聞社は特権階級になってしまってジャーナリストはいなくなってしまった」という声があります。
「格差社会」といわれますが、それを批判するメディア社会こそ、格差社会の最たるもののようです。
著者は、元日本経済新聞の記者。日経子会社で発生した巨額不正経理事件で当時の鶴田社長を追求したことにより懲戒解雇されました。
現在の新聞社の体制は戦時下の言論統制時代の経営形態を温存しているものだそうです。
な〜るほど、それで「ナベツネ」が権力を握っていられるんだ・・。
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)