□い頭を○くする

キジ撮影YT氏

 20代のころの私は、驚くほど無知で生意気で、礼儀知らずで「ちんぴら」でした。若気のいたりというやつですね。

 因みに、当時、職場の先輩が何かの辞書で「ちんぴら」を引くと「偉くもないのに、偉そうな不利をしている輩(やから)」とあったそうです。

 その先輩は「うん、まさしく俺のことだ」なんて妙に納得していましたが、実は私のことだった気がします。

 どこかの進学塾の広告に「□い頭を○くする(四角い頭を丸くする)」というキャッチフレーズがあります。

 当時は、それを文字って職場の黒板に「今月の目標 □い経理を○くする」なんて書いてました。
 
 それを他の部署の方が「今月の目標 暗い経理を明るくする」なんて修正してた気がします。

 光陰矢のごとし、今は「暗い税理士を明るくする」なんて言われそうな毎日です。

 うん、とにかく声を出して空元気、空元気。

【今回の推薦本】

 上村達男・金児昭著「株式会社はどこへ行くのか」

 早稲田大学法学部長の上村さんの現状認識や問題意識を、信越化学出身の金児さんが問いかける形で明らかにしていきます。

 この本は以前紹介させていただいた「資本開国論」や「不思議の国のM&A」とは反対の立場で日本の現状を憂いています。

 今の日本は市場の規律やルールが未整備で意識も低い中で、市場や株式会社をめぐる制度だけをいきなりアメリカ型に自由化することは危険であり、国益を損ない、まっとうではないと嘆いています。

 たしかに単に「資本開国」をすれば、いいという問題ではないし、国の文化や商慣習や国民性や将来のあり方などを熟慮した上で「どのように国際化すべきか」を考えるべきなのだと思います。

 筆者は経済産業省主導の会社法の導入を痛烈に批判します。これは会社法導入時の私の違和感を明確化してくれている気がしました。

 少し長くなりますが以下は引用です。

新会社法の成立に伴って従来の有限会社法は廃止され、すべての有限会社は法律上、株式会社として扱われることになりました。

 経産省会社法が行き着くところまで行き着いたというのが、いまの状況です。

 それを促進した学者の勢力のうちの大きな一つのグループが、ファイナンス理論会社法であり、「法と経済学」のひとたちだと思います。

 資本市場の機能というような話をせずに、取引分析やエージェンシーコスト分析ばかりを強調すれば、資本市場法でも公開会社法ではなく、民法に近い契約関係にもとづく小規模会社向けの会社法に傾斜していきます。

 新会社法はついに小規模で非公開性の有限会社こそが株式会社であり、定款自治株主総会万能を原則とするところまで、会社法の水準を下げました。まさに会社法の堕落というほかはないと思います。」

 そうだ、そうだ。あんなに苦労して導入した最低資本金制度の趣旨をないがしろにして、資本金には意味がないなんて理屈で、個人事業に毛の生えたような会社を主人公にしてしまったのが会社法です。本来、会社はどうあるべきか、という理念がなくなってしまいました。 

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(このブログは毎週木曜日に更新予定です)