以前「包括利益」について書きましたが、最近の会計基準の動向と古くからある損益計算書の考え方を少し混同した記述になってしまっていたことに気づきました。
後者は「当期業績主義損益計算書」と「包括主義損益計算書」というふたつの損益計算書の考え方で、簡単にいうと当期業績主義は特別損益項目を損益計算書に含めないのに対し、包括主義損益計算書は含めるというものです。
現在は、包括主義損益計算書ですが、これは昭和49年の修正によるものだそうです。
最近よく目にする「包括利益」は、この話とは全然違う話で会計基準のコンバージェンスをめぐる動向です。利益の概念を「当期純利益」ではなく「包括利益」にして日本の会計基準を国際会計基準に合わせるという話です。
何か最近の会計基準では、この「コンバージェンス」ということばが、やたらと出てきます。プログレッシブ英和中辞典で「convergence」を調べると以下のように出てきます。
1 一点への集合, 集中;(意見などの)合致;集合状態, 集合点
2 (各地の文化などの)同時発生
3 《生理》(両眼の)収束.
4 《気象》速度収束(度);質量収束(⇒DIVERGENCE).
5 《生》収斂(しゅうれん), 相似.
因みに企業会計審議会では「収斂」と訳していました。でも収斂とは「意見を集約する」というニュアンスがありますが、最近の国際会計基準は日本の主張はことごとく無視されているみたいですので「集中」の方が正しそうだ、と思うのは私だけでしょうか。
会社計算規則を見ていて驚いたのですが、126条に、すでに包括利益が規定されています。
さすがというか何というか、時代を先取りしています。すでに「コンバージェンス」の準備が済んでるというわけです。
(包括利益)
第百二十六条 損益計算書等には、包括利益に関する事項を表示することができる。
【今回の推薦本】はスペースがなくなってしまいました。
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)