連結経営と日経平均

オジロビタキ撮影YT氏

 会計制度が単体決算から連結決算中心になったのは2000年3月期からでした。

連結決算とは、資本的な企業集団をひとつの会社のようにみなして貸借対照表損益計算書などの決算書を作成して経営成績や財政状態を把握する会計制度です。

 導入当初は、制度になじみがないこともあり連結数値よりも単独決算が重視される傾向がありましたが、持株会社方式による経営が一般的になったこともあり連結決算が重視されるようになりました。

 先日、ある方から相談されました。
「実は、当社はもう成長性がないので、過去に留保したお金を海外に投資して子会社をつくっています。海外子会社は成長が著しくて、利益も親会社の何倍も稼いでくれるようになりました。でも、この状態では上場はできないですよね」

 確信がもてないのですが、私は上場できると思うと答えました。上場基準は連結決算で判断するからです。

 このことを考えていて、ふと気づいたことがあります。日経平均は好調なのですが、いまひとつ景気がよくなったという実感がありません。「なんでだろ?」と考えていたのですが、その原因のひとつに、この「連結経営」があるようです。

 昔は単体決算で株価が動いたので、国内の景気と株価は密接に関連していました。ところが連結決算で考えると、何も日本で儲けなくても海外子会社が好調だと業績はよくなるわけです。

経済活動がグローバル化したために企業価値もグローバルに考えるようになったので、「企業業績」と「国内景気」の相関性は薄くなってしまったようです。

【今回の推薦本】

 奥武則著「論壇の戦後史」。筆者は論壇を<広い意味で時事的なテーマについて、専門家が自己の見解を表明する場>と定義しています。

 戦後民主主義の論壇の中心となった雑誌は「世界」であり、その中心人物が丸山眞男清水幾太郎でした。
 
筆者は、『戦後の日本は「悔恨共同体」から始まった。』といいます。良かれ悪しかれ終戦直後の論壇は長く戦後の日本の民主主義の考え方や、広範な人々の心情にに大きな影響を与え続けてきたきました。

 単独講和か全面講和かの議論は、その後の55年体制の枠組みとなり、全面講和論は社会党非武装中立論へ受け継がれていきます。

 この本を読んで戦後62年の歩みを、始めて客観的に見ることができた気がします。

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