経理の実務は、まず簿記を勉強しないと理解できません。簿記とは取引を帳簿に記録する方法です。ところが、この簿記というのが、私は大の苦手でした。なぜって、面白くないからです。これは今でも変わりません。
簿記には家計簿のように収入金額と支出金額を記録して残高を記入していく単式簿記と複式簿記があります。経理で使う簿記は複式簿記です。不思議なことに、国や地方公共団体の簿記は単式簿記です。複式簿記だと、実態が明確になりすぎるからのようです。
何かの本で読んだ記憶があるのですが、何でも早稲田大学の創立者の大隈重信が、財政の経理を複式簿記にしようと奮闘したようなのですが、官僚の思惑で受けいれられなかったそうです。
複式簿記には長い歴史があり14世紀中頃からイタリアの商人たちが利用していたそうです。簿記を最初に書物で紹介した人はルカ・パチョリという人です。複式簿記は他人から預かった資金をどのように運用したかを証明するために発達してきました。
というのが定説だと思っていたのですが「粉飾の論理」という本を読んでいたら、簿記の起源の学説には2つあって、奴隷制度が支配する古代ローマ時代に原型を求める説もあるそうです。
とにも、かくにも国や地方公共団体の簿記は、600年以上も前の古代ローマや地中海貿易の手法より劣っているわけですから、財政赤字が膨らむ一方なのも、当然ということでしょうか。
税金を取るときは複式簿記で使うときは単式簿記。なんでだろ・・。
【今回の推薦本】
小島英記著「男の晩節」。土光敏夫、本田宗一郎、松永安左エ門、小倉昌男、石橋湛山、山田次朗吉、伊庭貞剛、新渡戸稲造、富岡鉄斎、各務謙吉、御木本幸吉、森信三、井上成美、山本夏彦、後藤新平、三宅雪嶺、白州次郎、大原孫三郎、古島一雄、鈴木大拙。
このうち何人の名前を知っていますか?そのうち好きなひとは何人ですか?私は、この本を読む前に名前を知っていた人は14人で、好きな人は8人でした。読んだ後も、好きな人の人数は変わっていないのが、面白いところです。教養の深い人は全員知っているのでしょうね。
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)