まだ私が20代前半だったころ西順一郎さんの「人事屋が書いた経理の本」という書籍がベストセラーになっていました。この本は20年以上たっても、まだ売れています。
この本は管理会計の教科書としては最高の本でした。
例えば損益分岐点という概念があります。ご存知のように会社に赤字が発生しない最低限の売上を損益分岐点売上といいます。
ものの本には、固定費を限界利益率で割って算出することになっているのですが、この固定費と限界利益率を計算する方法が複雑で、実務に応用するのは手間がかかり、しかも、なかなか理解してもらえません。
悩んでいたところ、(随分昔のことですので、正確性にはほとほと自信がありませんが)この本に次のような記載があった記憶があります。
「原材料費や外注加工費など、あきらかな変動費以外は固定費と考えます。
個変分解を精密にやっても実務では意味がありません。
“固定費は変動する”とでも覚えましょう。」
これは目から鱗でした。管理会計は、分かりやすくないと役に立たない、というのがその後の私の心情になっています。
【今回の推薦本】
現代版「昭和史発掘」(松本清張)の感覚で読み始めたのですが、明治以降の日本史を読み解くのに、最高の本です。
歴史は連綿と続いていることを実感します。
大正デモクラシーから二二六事件までの流れが、昔から疑問だったのですが、この本のお陰で実にすっきりと理解することができました。
(このブログは毎週木曜日に更新予定です)