恒久的施設(PE)ってなに?

ハマシギ 撮影YT氏

 租税条約は、何回読んでも難解に感じます。
例えば、分かりづらい言葉に恒久的施設という言葉があります。

 日本は現在45ヶ国の国と租税条約を結んでいますが、そのすべてに恒久的施設(英語では”permanent establishment”)の規定があり、恒久的施設がなければ課税しないというような規定が書かれています。

 例えば、USAの会社が日本から利得を得ても日本に恒久的施設がなければ日本では課税できません。

 恒久的施設は、課税関係を考える上で非常に重要なのですが、租税条約には何が恒久的施設に該当するかは事業管理の場所、支店、事務所などの例示があるだけです。

 逆に駐在所などの準備的又は補助的な性格の活動を行う場所は含まないと恒久的施設に該当しないものが包括的に規定されています。

 いっけん分かったような気になるのですが、実務的には恒久的施設に該当するか否か判断に迷うことが少なくありません。

 本当の話か否かは不明ですが、歌手のマドンナが来日して公演した際には、国税当局はマドンナが滞在したホテルをPEと認定して課税したという噂があるくらいです。

 もともと租税条約は、締約国間での投資交流を図るために、お互いの国の課税権をできる限り抑制することにありますが、課税当局は歳入確保の観点からできるだけ制限的に解釈する傾向が強い傾向があるため、納税者と課税当局で租税条約の解釈に相違が生じるがちなのも租税条約が分かりにくくなる原因のようです。

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