裏口入学という言葉は、聞いたことがあると思いますが『裏上場』という言葉があります。上場関係の仕事をしている証券会社や監査法人の方などが、ときどき口にします。
『裏上場』とは、実際の上場審査基準は満たしていないのに上場手続きを踏まずに、実質的に上場するのと同じ効果をあげる行為をいうようです。
具体的には上場会社を買収して、現在営んでいる事業の人も金も設備(その他の経営資源)もその買収した会社に引き継がせてしまい、買収した会社を実質的には別会社にしてしまうような手法です。
そんなこと可能なの?と思われるかもしれませんが、是非はともかく、やろうと思えば可能のようです。もちろん法の抜け道を悪用するような行為ですので、取引所は禁止しており厳しく監視しています。
ただ株価も安く、事業に行き詰まった上場会社はごろごろしています。そういう会社を立て直すこと(これを企業再生といいます)は必要です。
また商法改正で合併、分割などの組織再編といわれる行為がやりやすくなったこともあり、正当な法的手続きを踏んだ場合、裏上場なのか企業再編なのかは微妙なところです。
実際、未上場の会社が上場会社を支配下におくケースはかなり目にするようになりました。
児玉博さんの『“教祖”降臨 楽天・三木谷浩史の真実』によると、1981年ソフトバンクの孫正義さんがコンピューター雑誌会社の買収を内々に進め、交渉も合意に達し、買収目前だった際に、先方のメイン銀行の興銀が、こう言って割って入ってきたそうです。
「まだ上場もしていない会社が買収なんて無理ですよ。順序が違います」
時代は変わりました。
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