三位一体改革と源泉徴収制度

ワカケホンセイインコ 撮影YT氏

 “三位一体”とはもともとキリスト教の教義からきた言葉です。井沢元彦さんの『ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座』によると一神教キリスト教においてイエスを神とするとエホバとイエス、神が2つになってしまうため、その矛盾を解決する考え方だそうです。
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 さて最近よくメディアで目にする「三位一体改革」とは、キリスト教とはまるっきり無関係の話です。地方分権改革の流れの「税源委譲、補助金削減、地方交付税見直し」の3つを同時に進める改革のことだそうです。

 実務家の私にいわせると、税金面では、要するに所得税を下げて住民税を上げる改革のようです。そうすると、疑問がひとつわいてきます。現在所得税は、源泉徴収制度によって、ほとんどの場合支払時に税金を差し引かれます。

 ところが住民税は、前年の所得が確定してから翌年5月過ぎに市町村が納税額を計算して納付書を発送する仕組みになっています。つまり地方税の徴収は1年遅れの翌年になっているわけです。
 そうすると所得税を下げて住民税を上げると、その税率が変わった年は納税額は減ってしまいます。つまり税収が下がってしまうことになります。

 納税者にとっては結構なことですが、国や地方は困ったことになってしまいます。税収不足ですから、住民税の課税方法が変わる可能性が強そうです。

 案の定、現在1年後れになっている住民税の納付を当年に納付する仕組みに、という議論になっているようです。政府税調『個人所得課税に関する論点整理の要旨』には以下のような記載があります。実務家としては、理念よりもこちらの方が気になるところです。
『個人住民税は、納税の事務負担に配慮して、前年の所得を基礎として課税するいわゆる前年所得課税の仕組みを採っているが、本来、所得課税においては、所得発生時点と税負担時点をできるだけ近付けることが望ましい。・・・中略・・・現年課税の可能性について検討すべきである。』

http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/tosin/170621.htm

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