2006-10-13から1日間の記事一覧

中原中也詩集より

思えば遠く来たもんだ 十二の冬のあの夕べ 港の空に鳴り響いた 汽笛の湯気は今いずこ雲の間に月はいて それな汽笛を耳にすると しょう然として身をすくめ 月はその時空にいたそれから何年経つことか 汽笛の湯気を茫然と 眼で追いかなしくなっていた あの頃の…